2017年10月
「はっぱ、いっぱい落ちているね。
あかいのも、きいろいのも、みどりもあるね。
かずくんが、絵本よんでいるまえに、落ちたのかな」
出かける直前まで、和は絵本を読んでいました。
「まえに」というのは、「それよりも前」とか、「今よりも前」というニュアンスかな?
秋の葉が、数日の嵐でずいぶんと散りました。
その様子を見て、見ていない間のことを想像して、「いつ落ちたか」を考えるようになったということが嬉しくなりました。
(川辺)
静岡で初めて幼稚園の先生になった。最初に3歳児の担任になった。何もかもが新鮮だった。
幼稚園の裏庭に池があって。そのそばに桜の樹があった。見上げると小さなさくらんぼかたくさん実っていた。
それを見て子どもたちが言った。「落ちてきて!」と。ピョンピョン跳ねながら「落ちてきて!」を連呼した。
そして地面を見たら、「落ちてた!」。それを見て、子どもたちは大喜び。
「落ちたね!」とつぶやいた。
その時、私の心にある思いが浮かんだ。「願い」は時間差で聞いてくるのかもしれないということ。
さくらんぼを見て、「落ちてきて!」と願うこの子たちの願いは、時を経て、次にここに来る誰かのために叶うのではないかと。
願いは、そんな風にリレーされていく。落ち葉はいつ落ちたの?という和くんの疑問から、そんなことを考えた。
(宮里)