お風呂から出たあと、私が必死にお肌に保湿をしていたら、視界から和が消えました。
「あれ? 和は?」と、とっさに口にしながら視線を落としたら、和が下に寝っ転がって、ぎゅーっと目を閉じていました。
「あ! 隠れているんだ!」と、おもしろくなり、「あれ? 和がいなーい」ともう一度言ったら、またさらにぎゅーっと目をつむっていました。
こちらからは見えているのに、「見えない」つもりで私は「いない」と言います。
でも、和は、ほんとうにまだ「見えていない」と思って、見つけてもらうのを楽しみにしています。
上の姉は、もうすっかり目を閉じても隠れていないことはわかってしまったけれど、ずいぶんこのやりとりを彼女としたことを思い出し、懐かしくなりました。
目をギュッとつぶれば、周りが見えなくなる。
だから、自分も消えている!
どうやら子どもたちは、そういう風に世界を感じているようだ。
和くんやお姉ちゃんがそうだったように、こども園の子どもたちも、
目をギュッとさせて、自分を消している。
何回でも繰り返し、消える自分を楽しんでいる。
中に、片目をそっと開けている子がいる。
あれは、自分を半分消しているんだろうか。
(宮里)