2016年9月
買ったばかりのままごとセット。
和が、手を振り回してバンっと当たったら、床に落ちて割れてしまいました。
危ないから触らないでね! と拾いあげている間に、和の顔はじわじわと曇っていきました。
和はもう一度手を伸ばして、「ばーんちっち?」「ばーーーん、ちっちー?」と言いながら、他のコップのギリギリをかすめながら同じことをしていました。
翌日も、割れたままのティーポットを指差して「ばーんちっち?」と言って顔をしかめます。
自分の身体の動き、それに伴って起こったことを、それがいいことも、良くないことも、ひとつずつ受けとめているんですね。
(川辺)
ばーんちっちって、何を表しているのかな?
割れた音?
そこに至る手の動き?
それとも、体の記憶?
みるみる顔が曇る。
顔をしかめる。
そこからは、悲しい結末を自分で引き受けている気概まで感じてしまう。
こんな風に、繰り返し言葉を口にしながら、イヤだったこと、悲しかったこと、思いがけなかったことを反芻している。
(宮里)