ふと降ろされた芝の上。はいはいして進もうとしたら、足に感じたチクチクが気になったようだ。
これか。これはなんだろう。そう思っているのかな。
手を伸ばして、手のひらでそーっと触れてみて、じっと見ていた。
小さな手が、それは何かを知ろうとしているのかな。手のひらって、すごいな。
(川辺)
小さな子どもといると、言葉にならない言葉が聞こえてくるように思うことがある。ふと立ち止まったその姿から、いろいろな声が聞こえてくる。もたれかかってくるその重みから、心の声が聞こえてくる。そんなふうに言葉にならない言葉が聞こえてくると、その子のことがもっともっと好きになる。
ふと降ろされた芝生の上で、細い芝のその先に触るか触らないかという場所に手をもっていく。触るか触らないかのギリギリのところで、手を止めている。芝生の葉をパンパンと叩くのでもなく、グシャッと握るのでもない。もう少しで触りそうなギリギリのところで、手を止めている。
その仕草から、「これは何かな?」という声が、確かに聞こえてくるような気がする。
(宮里)