2018年10月
週の初め。
保育園の近くのアパートの前に、赤い実が1つ。 きれいで、ツルツルしていて、ぷっくりかわいらしい実!
それを拾ったら、次の日。2日目に、2つ落ちていました。 なんだか絵本みたいなできごと!
1つは和の手に。 もう1つは、和が「ほかに拾いたくなった人の分ね」と遠慮して保育園にむかいました。
3日目が、この写真! 選べるくらいいっぱい落ちていました。
和は嬉しくて2つ、 大事そうに手に持ちました。
そして4日目。 もっともっといっぱい落ちていました!!
そしたら和が、「カラスが来て、和くんのために落としてくれたんじゃないかな。木に乗ってバサバサって揺らしてくれたんじゃない?」と言っていました。
和のために、カラスが木を揺らしてくれているのを想像して、にんまりした朝でした。
いいね。 和の世界では、世界中が和のために何かをしてくれる。
(川辺)
今から40年以上前のこと。
新米保育者の私はお姉さんみたいな感じで子どもたちと過ごしていた。
一年目の保育者が3歳児クラスからスタート、私をまるごと受け止めてくれた藤野敬子先生のことを懐かしく思い出す。
その幼稚園には裏庭があって、そこに大きな桜の樹があった。
ある日、数人の子どもたちと私で裏庭に行った。桜の樹を見上げるとたくさんの赤い実が見えた。
「とって!とって!」 子どもたちは口々に言うけれど、手が届かないほどに高い所に実はついている。
「もう少ししたら、おちてくるよ!」と話すと、子どもたちは、樹を見上げて「おちてきて!」「おちてきて!」と呼びかけ始めた。
私も一緒に「おちてきて!」と言いながら、ふと下を見た。
するとそこにきれいな赤い実が落ちていた!
それを見つけた子どもたちは「おちたね!」とうれしそうに言う。
楽しい時間を過ごした後で私の中にある考えが浮かんだ。
「おちてきて!」という子どもたちの願いは時間を越えて叶うのではないかと。
ずっと前の子どもが願った「おちてきて!」が、今日叶う。
今日の願いは、未来の誰かの喜びになる。
願いは、ずれながら叶っていく。ずれながらだけれど願いは必ず叶う。
そう思うと心がほんわりあったかくなった。
和くんと赤い実の話を読んだら、思い出した。
(宮里)